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頭痛外来を受診しよう

監修:富士通クリニック 頭痛外来
五十嵐 久佳 先生

頭痛外来を受診して、頭痛の軽減によるQOL向上を目指しましょう

一次性頭痛の患者さんの多くは医療機関を一度も受診したことがありません。また残念ながら、受診しても正確な診断や適切な治療を受けていない方もみられます。このような場合、多くの方が日常生活に支障をきたすレベルの頭痛に悩まされていると推測されます1)。市販の鎮痛薬を服用されている方で「痛み止めの量が増えた」、「痛み止めが効かなくなってきた」という不安を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか?この機会に、頭痛の軽減によるQOL(quality of life:生活の質)の向上を目指して、頭痛外来の受診を検討してみてはいかがでしょうか。頭痛外来を受診し先生と適切な治療について相談することが、頭痛による日常生活への支障を減らし、QOLを向上させることにつながります。

頭痛専門医による診療を受けましょう

海外で、一般医から頭痛専門医を紹介された患者さんに聞き取り調査を行ったところ、頭痛の強さ、頭痛による日常生活への支障の程度、健康関連QOLの尺度が改善し、頭痛専門医の診療に対する満足度が高かったことが報告されています2)。国内では、2005年から日本頭痛学会による頭痛専門医の認定がはじまり、全国で頭痛外来が開設されるようになりました。頭痛外来では、命に関わるような二次性頭痛(くも膜下出血など他の病気に起因する頭痛)かどうかを正確に診断するとともに、一次性頭痛についての豊富な知識をもつ頭痛専門医による診療をしています1)

頭痛のタイプに合った治療を行うために、正確な診断が重要です

一次性頭痛には片頭痛、緊張型頭痛、三叉神経・自律神経性頭痛など、さまざまな種類があります。また、天候が変わると頭痛が起こる方もいれば、アルコールで痛みがひどくなる方もいるように、個々の患者さんで頭痛が起こる条件は同じではありません1)。それぞれの患者さんにとって効果的な治療法や対処法は異なりますので、適切な医療を受けるためには頭痛専門医による正確な診断が重要です。

頭痛について理解することが、症状の改善にもつながります

頭痛外来では主に、患者さん一人ひとりの頭痛の種類や症状に合わせた生活指導やお薬による治療が行われます。また、頭痛という疾患について医師や看護師などから学んだり、頭痛に関連した障害について話し合うことも大切です。患者さん自身が頭痛の種類や治療法を理解することは、症状の改善につながる大切な診療の一部です。近年、一次性頭痛の予防治療や運動療法などの研究も進められており、頭痛外来を受診する患者さんのQOL向上が期待されています1)

頭痛外来における診療の特色

頭痛外来における診療の特色
  • 1)日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会監修. 頭痛の診療ガイドライン2021. 医学書院, 2021.
  • 2)Soon YY, et al. Cephalalgia. 2005;25:1122-1132