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生活のTips 食事編③

食事と片頭痛の関係
:脂肪の多い食生活にちょっと工夫を

監修:岩手医科大学医学部内科学講座
脳神経内科・老年科分野
工藤 雅子 先生

あなたへのおすすめTips

片頭痛でつらい日々を送っているあなた。食生活の見直し、特に低脂肪食にすることで頭痛の回数と痛みの強さを減らすことができるかもしれません。バランスのよい食事の工夫を考えてみませんか。

肥満はさまざまな病気を招くことがわかっていますが、あなたの片頭痛にも影響しているかもしれません。肥満の解消はいいことずくめです。これを機に食生活だけでなく、運動、睡眠も含めたあなたのライフスタイルを振り返ってみませんか。

からだにやさしい低脂肪食は、頭痛の回数と痛みの強さも減らすことができる可能性があります

疲れが取れない日々が続いている、イライラモード続きでストレスがたまっていそう、とにかく脂っこいものを食べると元気が出る、こんなときつい手が出てしまう高脂肪食。食事から摂る脂質は、からだにとってとても大切なエネルギー源です。しかし、これがいつもの食事スタイルになってしまっては、肥満を引き起こし、さまざまな病気の原因にもつながりかねません。

ここで脂肪分の多い食事と片頭痛の関係を調べた興味深い研究結果をご紹介します。海外の片頭痛患者さんを対象に、総摂取カロリーに占める脂肪の割合を20%以下にした低脂肪食を摂取したときと25~30%の通常食を摂取したときの1ヵ月あたりの頭痛の回数と痛みの強さ(軽度~重度の3段階で評価)を比較したところ、頭痛の回数、痛みの強さのいずれも低脂肪食を摂取したときのほうが低いことがわかりました(図1)1)

日本で行われた調査でも、片頭痛の方は頭痛もちでない方と比べて脂肪分の多い食事の摂取が多いことが報告されています2)

高脂肪食と頭痛に関係があることは驚きですね。好きなものが食べられないと思うと、これもまたストレスです。から揚げを食べるうちの何回かをサラダチキンに、チーズハンバーグを食べるうちの何回かをおろし豆腐ハンバーグに、こうした低脂肪食を摂る工夫で自分のからだと相談しながら食生活を見直してみてはいかがでしょうか。

図1:低脂肪食、通常食を摂ったときの
1ヵ月あたりの頭痛回数と痛みの強さの比較

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肥満の解消で、からだをいたわりましょう

肥満はからだに負担をかけ、さまざまな病気を引き起こす要因のひとつです。ここで、肥満と頭痛回数にも関係があるという研究報告をご紹介しましょう。

片頭痛患者さんを対象にBMI別に頭痛回数を比較した結果です。肥満ぎみ~肥満の患者さんは、適正体重またはそれ以下の患者さんと比べて1ヵ月あたりの頭痛回数が多いことがわかりました(図2)1)。また、BMIが高いほど頭痛の回数が増えるという関係も認められました1)

健康的な体重を保つことは、からだにとっても片頭痛にとってもいい影響を与えそうです。

BMIって何?
成人の場合は身長の変化はほとんどみられませんが、体重は生活習慣などでも大きく変動します。そのため体重が身長に見合っているか、BMI(ボディ・マス・インデックス:体格指数)で肥満の度合いを判断できます。その計算式はつぎのとおりです。

BMI=体重(kg)÷(身長(m)×身長(m))

体 格 痩せすぎ~痩せぎみ
(要注意)
適正体格
(基準値)
肥満
(要注意)
BMI(単位:kg/m2 ~18.4 18.5~24.9 25~
体 格 BMI(単位:kg/m2
痩せすぎ~痩せぎみ
(要注意)
~18.4
適正体格
(基準値)
18.5~24.9
肥満
(要注意)
25~

厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネットより作表

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-001.html (2021年10月閲覧)

  • 1)Ferrara LA, et al. Nutr Metab Cardiovasc Dis. 2015;25:370-375
  • 2)Takeshima T, et al. Headache. 2004;44:8-19