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片頭痛の治療(薬物療法)

監修:富士通クリニック 頭痛外来
五十嵐 久佳 先生

片頭痛の薬物療法には、痛みを止める「急性期治療」と片頭痛発作が起こるのを減らす「予防治療」があります。自分に適した治療法をみつけることが「片頭痛コントロール」の第一歩です

片頭痛の薬物療法は目的により「急性期治療」と「予防治療」に分けられます。
片頭痛の痛みが出たときの対処法として「痛み止め」のお薬を常用している方も多いでしょう。「急性期治療」はこのように、片頭痛の痛みが起こったときに症状を抑える方法です。
一方、「予防治療」は片頭痛発作が起こるのを減らす方法です。片頭痛発作の頻度や症状の程度、持続時間を減らしたり、急性期治療の反応を改善させたりすることによって、生活機能を向上させ、片頭痛による日常生活への支障を減らすことを目的としています1)

急性期治療

片頭痛の急性期治療薬には、一般的に鎮痛薬やトリプタン、制吐薬が用いられ、片頭痛の重症度に応じて治療薬が選択されます1)

軽度~中等度の頭痛には、鎮痛薬または鎮痛薬と制吐薬を組み合わせて使用します。中等度~重度の頭痛、または軽度~中等度の頭痛でも過去に鎮痛薬の効果がなかった場合には、トリプタンが推奨されています。いずれの場合にも制吐薬の併用は有用です1)

前兆のない片頭痛をもつ患者さんで、重度の頭痛が72時間を超えて続く片頭痛発作重積の状態や、治療の効果がみられない片頭痛発作などの重症片頭痛に対しては、鎮静麻酔薬や副腎皮質ステロイドなどが使用されることもあります1)。 

いずれのお薬も、3ヵ月を超えて定期的に乱用する(単一成分の鎮痛薬では月に15日以上、その他の急性期治療薬では月に10日以上)と、かえって薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)をきたし、頭痛が悪化したり頻度が増えたりする可能性があるため、注意が必要です1)

予防治療

片頭痛の発作が月に2回以上あるいは6日以上ある患者さんでは、予防治療の検討がすすめられています。急性期治療のみでは日常生活に支障がある場合や、禁忌や副作用のために急性期治療薬が使用できない場合、急性期治療薬の効果がみられない場合、急性期治療薬の乱用がみられる場合、長く続く神経障害をきたすおそれのある特殊な片頭痛がある場合などにも予防治療を行うことがあります1)

これまでに予防治療で用いられてきたお薬の種類には以下のようなものがあります。 

  • ・抗てんかん薬(バルプロ酸)
  • ・β遮断薬(プロプラノロール)
  • ・カルシウム(Ca)拮抗薬(ロメリジン)
  • ・抗うつ薬(アミトリプチリン

保険診療における片頭痛に対する適応外使用が認められている

これらの予防治療では、副作用が少ないお薬を低用量から開始し、2~3ヵ月程度の時間をかけて効果を判定します。また、片頭痛以外の併存する疾患(共存症)や身体的な状況も考慮してお薬が選択されます1) 

さらに、近年では片頭痛の病態にカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)が関わっていることがわかってきました。片頭痛の予防治療薬として、CGRPやCGRP受容体に対するモノクローナル抗体(抗CGRP抗体/抗CGRP受容体抗体)が欧米で使用されており2)、日本でも使用できるようになりました。

このように、片頭痛にはさまざまな治療法があります。自分の症状や生活への支障度について医師に相談して、自分に最も適した治療法をみつけることが「片頭痛コントロール」の第一歩となります。

  • 1)日本神経学会・日本頭痛学会監修. 慢性頭痛の診療ガイドライン2013. 医学書院, 2013
  • 2)柴田護. 神経治療学. 2019;36:146-150