頭痛の検査について
監修:富士通クリニック 頭痛外来
五十嵐 久佳 先生
正確な診断のため、頭痛の症状に応じてさまざまな検査が行われます
頭痛の診察では、患者さんから正確に症状を聞き取ることが正しい診断に結びつきます。他の病気が原因で起こる頭痛を二次性頭痛といい、中には大きな病気が潜んでいる場合もあるため、一次性頭痛との鑑別が重要です。また、一次性頭痛と考えられても、症状が変化したり頻度が増加したなどの場合には検査を行うことがあります1)。
頭部CT検査
あお向けに寝た状態で検査台ごと体を移動させ、丸い筒状の検査機器の中で頭部にX線を照射します。頭部を通過して検出されたX線をコンピュータ処理することにより、頭を輪切りにしたような断面画像が写し出されます。この断面画像から頭蓋内出血や脳挫傷、脳腫瘍など、さまざまな病変の画像診断を行います。頭部CT検査は所要時間が比較的短いため、緊急を要する脳出血やくも膜下出血などの診断に有用です2)。
頭部MRI検査
頭部CT検査と同様に、丸い筒状の検査機器の中で検査台ごと体を移動させますが、X線ではなく強力な磁石と電波によって断面画像をつくります。非常に強力な磁石を使用しているため、入れ歯などの金属の影響で正確な画像が写らないことがあり、注意が必要です。頭部MRI検査は、くも膜下出血や脳出血、脳腫瘍や髄膜炎などの病変を詳細に写し出すことができます。また、小さな変化であっても検出できることから脳梗塞の早期発見に有用です2)。
髄液検査
脳と脊髄の周りを循環している髄液(脳脊髄液)を、腰椎の骨と骨の間に針を刺して採取し、髄液の成分や色、圧力を調べる検査を髄液検査といいます。患者さんには横向きに寝てもらい、麻酔をしてから背中を丸めた状態で髄液を採取します。この検査は髄膜炎や脳炎、くも膜下出血の診断に使われます3)。
血液検査
髄膜炎などの感染症が疑われる場合に血液検査を行うことがあります。一般の感染症と同様に白血球数の変化や、炎症反応を調べます4)。ただし、血液検査だけでは正確な診断ができない場合もあるため、髄液検査や画像検査と組み合わせて判断することもあります5)。また、毎日頭痛が続く場合に、甲状腺機能の異常がないかを血液検査で調べることもあります。
- 1)日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会監修. 頭痛の診療ガイドライン2021. 医学書院, 2021
- 2)日本医学放射線学会 編.
画像診断ガイドライン2021年版. 金原出版, 2021
- 3)卜部貴夫. 日本内科学会雑誌.
2010;99:2581-2587
- 4)日本神経学会・日本神経治療学会・日本神経感染症学会監修. 細菌性髄膜炎診療ガイドライン2014. 南江堂, 2015
- 5)伊藤悟. 神経治療学.
2017;34:215-218